直弼公は茶道の奥義を禅的な思想も加味し、「三言四句」の茶則を各。清凉寺の仙英禅師も禅の精神を茶道の礎としたと直弼を称賛した(直弼は清凉寺へ熱心に参禅し仙英禅師より袈裟血脈を授与されている)。
三言四句とは、「茶非茶」(茶ハ茶ニ非ズ)「非非茶」(茶ニ非ザルニ非ズ)「只茶耳」(タダ茶ノミ)「是名茶」(是ヲ茶ト名ヅク)-和歌は省略- 正に禅問答的である。わたくしの解釈を以下に示そう。世俗で行われているような茶道は高貴ぶった贅沢な茶室やお道具、茶席の客人の各等を重視するので眞の茶道とは云えない。素朴な自然体の茶、禅、「無」の世界のような心境での茶道こそが眞の茶道で、物や形の茶道では無く「心」や「気」、そして質素倹約を守り「詫」の世界に没入することが直弼茶道の思想である、ということではないか。【埋木舎当主・大久保治男】
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